2017-04-04 無題 石 無題 こんな配慮の足らぬ日は 脚の足らないグランド洋琴 ぽろぽろ化膿した雲間からは トンボのいちばん黒いので 俺の寝屋なんぞラフ画のやうだ 若し蕾が西洋ランプであつて つづら折りの今生を少しばかり そういう詐病もあるらしい あるいは俺もそのやうだつた 流行りの道化には処方箋を 今の俺には二色刷りの春でした 暗い夜道を照らす花林だけが 海月のやうなこころに甘く 斜行した消印の無い風景にすらも ほんのりやんわり染みるのです