俯瞰生活

俯瞰生活



ぶあつい雲のランドリは
くるくるでがらがらだ
精米所なんぞはいつさう暗い
ぷかぷかタールにしけもく
模様変えした折にはとんとん
緞帳の降りて終まいには
空の化繊に引きちぎられる
ぱちぱち鳴るは電灯に月灯り
三分の染井も漂白されて
おれも米粒ぐらいには
少しはぴかぴかだとよい
そのうちにシロツメも咲いて
どかどかと新調されて行く
流行りの洋服や化粧品やらも
持続体の石ころと同じく
延長と地獄の憂鬱アニユイ
おれは細指で米を研いで
蒸気のなかでうつむいては
三キロ分の重さの今生と
一日の重さを天秤にかける
これらが生活でありますやうに
ひらすらにさう願うばかり