主観乱気

主観乱気



頬に生えた苔は落第生で
 静止したうなじはロザリオ
 ともがらは剽軽で
 芥子もついてベタベタだ



  おれにまとわりつく
   笑窪のあれらの恐ろしい
   あらゆる省察も諂うからと
   貴女はヘアピンを曲げる


 
このエチュードの線は
 空間と延長に投擲されて
 香料のみが料理長なのだから
 おれはそれらを見上げる


  
  あのジュラルミンの空は
   オカルトめいた屈折率で
   おれの二つの車輪に
   どうしてこうまで痛むのだ



ただしい粘膜と道徳は
 狼の料理長が食べてしまう
 幻想は受肉せずにいつだつて
 おれはいま鎚で符を打つ