二行スケッチ

二行スケッチ




下弦の月は版画でこぼこ
朱色の部屋
  


   墨色の庭先から
   渡航する胞子を眺む



 練り消しと水風船は
 白紙のクロック



    物自体に描きこむ徒
    俺はそいつらが恐ろしい



  肢体についたあの暗い
  あのべたべたを



     どうこうしようなどと
     正気の沙汰ではないのだから



厭になるほど跳躍しては
それらを平気で打ち捨て破く



  傲慢のペンシルと塗料
  有り体に云えば