超越考察

超越考察



義眼の烏は己が故に
十六鏡、あるいはーー撚糸
卯月の田んぼに線はなく
あまりに非解剖学的であるから
柔らかい布のやうな風や
乱視ーーあるいは過矯正の空
あらゆる物が光学から脱走する
たといシスレーであらうとも
どのやうな色彩かーー手は光り
たれかれも可鍛性ではなく
侭で欠伸のワルツであるから
二体の小鳥も曲線や乱線や直線で
ここに視座あるいはーー文鎮
これほど藹然とした節もなければ
なんとも愉快な心象ではないか
ーーーー四月某日の付箋