2015-09-04から1日間の記事一覧

双子の月

双子の月 西館の屋上は 石英水銀の壁紙でした 軽くなったシーツは 古ぼけたト長調 ふわりと行き交う電圧は 麻酔のきいた夜、奏で 双子の月灯りは 梯子を昇れませんでした ジッポ石を装填したり 鉄格子をけっぽったり きぜわしくちかちか 錨のない私のこころ…

無題

無題 暦のないカレンダーを めくるのは誰でもかまわない 千年もの長い季節は いつも病室に飾ってあるのだから あなたはあなたでなくなる いくら目をこすっても 本棚に並べたてられたワインに ラベルを貼られる事はない ホルマリンの波浪が 家にまでおしよせ…

ようじ屋

ようじ屋 インク切れの刻みを コツリやっては ざいなくて、木屋町闊歩 蜘蛛の子ちらして 幾らばかりか半月曇り 荒れる鴨の流れ ポツポツ詰所流れては みだりに引いたり 押したりで、せわしなく 瀬戸物あつめては ボタン止める暖簾やら 裁縫できない濁った酒…