拳銃

拳銃






ひばりの泪の拳銃
  遠く彼方に鐘は鳴る




空に停泊したオリオン座が
  銀河の馬車鉄に乗車せり




それはあてどない旅なり
  春の呪詛には恐ろしひ




あまた過ぐる日々
  我は白髪の使者なり




一錠のオーケストラを奏で
  地獄のへっついに立つ者なり




王宮には襤褸をきた
  七つの大罪が腐乱す




諸兄の拳銃のポエジー
  駱駝に乗せて飛び立つ




太陽は鉱石に語りかけ
  静謐な引力に導かれるか




躑躅の花弁はひばりに語り
  硫黄の外套に泪す




トルコ石のへきかいは
  亜鉛の棺に似たり




轢殺された屏風のうらには
  機械式の恋が隠蔽されし




野火は鳶に抱かれて
  三千世界に飛び立つなり