わたくしという暗い系列から
赤い燐粉をもたらすもの
純粋天国はノートのきれはしをたべ
一千光年先のノクターンを奏でる
これら永久機関を搭載した言語表象は
北の凍土からくる緑風の因果律にのり
気圏のすみずみに熱の限りをばらまきます
(垂直に亜鉛をすいとるN次元空間)
これら青い境界線上の認識行為一般は
それだけで意味をもつこともおおいにありましょうが
高密度に圧縮されたシルバーイドのように
そのおおくはわたくしにしか意味をなさないのです
けれども銀紙に記されたあのまっくろな季節は
亜鉛の幻想と幾ばくかの古風な祈りでもって
天球をすべる主知界の光の眷属たちを
それらことごとくの黒くおおきなもので殴るのです
(ひびわれ粉々に砕けた気圏の破片)
じょうとうな粒子をズックでふみしめるように
わたしはまたかわるがわる鬼哭をならす
降機するグランジャルダ―は三叉の矛となり
光月夜をたしかな運動でもって駆けぬけて
砂漠の狐の音階は電磁極)
ああ地はなお暗い振動をやめますまい
冥福の環状を斧鉞できりとる木こり
陰惨な労働を怒りの禅音符で祝う音楽家
顛末を笑殺するしわがれた学士の影
蒸留されたエーテル体からこぼれる涙
火鉢のかがやきをうしないつづける日輪
くらめき風景はひとつにまざり
さまざまに変色する位相のたぐいのように
紐のような次元のゆらぎを観測しつつ
交流する青い電燈はいまだ明滅しつづけます
(透明な零機はスノードニアにくみこまれ)
しばらくずっとこうしていたので
伝導感線をうまくはれないでいますが
天枠からはみだした印象派の絵師のように
あらゆるものをそのまま描いてみましょう
ぽふぽふゆれるステンド硝子や
くたびれた黄道からのびる紫の腕
天窓のそとの原生林の白いミミズク
赤錆びた粉雪の毛先のような羽で
たおやかにこの世の穢れをつつみこみ
インクの飛沫のように明るい空を歌い
交錯したひとつの純化隕石とぶつかる
(棘をのみこむ髑髏の磁針)
石灰岩の衣服をきた昆虫学者のように
あるいは修羅に身をおく地質学者のように
このようなたしかな現象をここにしるします