土竜
鯉がおよいでいる
いくつものコバルトを飼い
どこかへたゆとうてゆく
深海はたいくつな恋だつた
あるいは森といつてもよい
ほらがいがたたずんでいた
あまたの月がおぞましく官能し
こおつた金属がきんきんなつていた
紙芝居のやうにうつろうては
銀の皿のうえでロンドしている
びた一文はらうよゆうなどなひ
ただ、おまえをたべたいとおもふ
この因果の矛はいつていのはやさで
とおりすぎてはゆきすぎる
ぬいつけられた月がぽおぽおと
食卓にならんでゆく
なぜおれはここにいておまえは
おれをこうまでいためつけるのだ
ひものやうなつなわたりをおえ
サーカス小屋はにぎわつていた
森と深海はひじやうにこくじしており
まるでドツペルゲンガ―のやうだ
われらはきやうだいのやうなものか
あるいは恋人のやうなものなのかもしれなひ