卍
卍
卍とかかれた看板が
ふるびた二色刷りの念力で
ぷかぷかとけむりをふいている
ふけどもふけども廻らずに
こんこんとエイテルをたらしている
ここはいかん ここはいかん
風の折檻がぴうぴうとふいて
くうかんが詰め腹をした宵
きよめやうと境内にでむいた
ときおりまざるざつおんが皐月の宵にとけて
乾燥したシニフイアンだけがひびいていた
じやりじやりと境内のすなをならし
蛇使い座のわだちをのこしてゆく
やしろはけつかいした河のやうだ
おもはゆいほほをした狐さまがおる
ずんずんといすわつておる
どれだけいすわつていたのだろうか
なんどおがまれやうとも
ほほえみをたやさないあなたは
なんとれいこくな質量なのであろうか
とうめいないのりだけが
われわれにへんぴんされて
狂る狂ると卍は廻るのであります