恋慕

恋慕










露悪的な罪と罰
  あいしかたをわすれて
(にこのかたちんば)
  あいされかたをわすれた








どれだけたつたであろうか
  もうどれだけたつたであろうか
(にこのかたちんば)
  こどくすらもわすれてしまつた







こころといふのはやつかいな
  あつかいづらいしろものだ
(にこのかたちんば)
  なみうつやうにくらんでいる







かわぎしにうかぶくもを
  ていねいにすくいあげては
(にこのかたちんば)
  ひがしのくもに恋をする







こころにつけどもつけども
  あのおんなはかえらない
(にこのかたちんば)
  にしのくもに恋をする






ミシンのぬいめのやうに
  ひきさかれてはぬいつけ
(にこのかたちんば)
  みなみのくもに恋をする






おんなの罪はうつくしい
  おとこの罰はみぐるしい
(にこのかたちんば)
 きたにくもはもうみえない