五百十型

五百十型









うさぎは活字におわれ
  在る日、脳病院からにげました





脱兎などと活字をはられ
  五百十型の鉄屑とあいなりました





赤瑪瑙にひとみをぬるはつき
  つきは屑を浜辺につきあげます





まるでどうしやうもないかずの
  さびたぽんこつの活字の泪は





はしるいみすらわすれてしまい
  ついには泪もつかれはてました





げつめんはとてもしずかです
  はしるみちもつかれはてました





ひとみはやうやく瑠璃になり
  しあわせになつたのでありました