楚歌

楚歌



消し炭のやうな

猫の革はつた

高利貸しの風きつて

錠のない日をあおぎ

在りし名を省みる

甲冑のやうな生業は

討てど暮らせど変らず


前髪絶句
後髪絶句



硝子玉はじいては

手繰る

業の荷駄をおろしては

狸の革にくるんで

ネガを焼き回す

付箋の一夜を通りすぎ

戸板の扉をぎいとやる


前髪絶句
後髪絶句