2014-10-29 桜心中 石 桜心中 おぼろ月夜にふる雪は ちらほら流れておりました 八洲におよぐこざかなは 塩ドロツプのやうでした ひとつ盲をくらつては かたほう漕ぐほかありませぬ たしか縞模様の春でした まるで丈のあわない雨でした 吹雪舞いちるメイビーは はらりと投げ銭にぎわしく 高瀬に灯ろう流れては せわしくゆきかう人ばかり あてのない酒のやうな にごつた河岸にたたずんで のらりとくらりと夕闇に 浮かぶ花はまるで琴でした