飯盛女

飯盛女


中山道のすくばに
一輪のかすみ草があつた
おはじきのやうに
月夜にぱちんとないて


おやどのおそばに
青い電流ながれていた
こじきのやうな
それはまるでこじき


張りかえたころも
ほつれた絹糸が月から
むかでのしたに垂る
三上の守はしたたらず


さびれたすくばは
ひとけのなくて
たれかに摘まれてしまう
一輪のかすみ草