雪恋

雪恋


シートベルトの黒髪
成程、ああそうか
ろくに歩けもしないわけだ
丁度、珈琲こしたあとの
おれはそんな色合いで
艶やかな口紅さして
まるで千両のやうな色
なんの花にたとうべきか
おれはトチノキ
こういう風体ですから
ベッドのシーツは
露悪ヘルツ(ガガガガガ)
それでも繰言けたましくなる
贋作で、贋作で、贋作だ
どこかでとちつた
だからおれはこうこうで
あなたは今尚、美しい
小指にかかるぎやまんは
障子のやうにやわく
ジヨウロどぼどぼと漏れ
淡い雪の月光花
けたたましく鳴るラジオ
気怠そうに、受信する
耳障りにざらざらと