ダフニスとクロエ

ダフニスとクロエ


長いコートは
ステンドグラス製で
午后のla mer
流れ着いた小瓶
ダフニスとクロエは
宛名のないわたしやら
となりに侍るわたしやら
へたくそな風景画と
もう乱反射しては
あらゆる角度と色合いで
風景はモノローグ
わたしの左眼の時計は
50minほどのズレを観測し
古い技工士のやうに
パチパチとやつてみては
ひかりのオルガンで
ピントをあわせるのです
色はせわしく行き交い
硝子のla belle
それでも下を弾くのは
どういう結晶系か
冊子のなかの紳士は
角砂糖のやうな
音符の雨のなかで
コウモリ傘をさして
いつ折り畳んでやらうかと
じつとこちらを伺つて
しまいにはこう言うのです
きまつてこう言うのです
珈琲を淹れてくれたまへと