毘沙門堂

毘沙門堂


灰皿にふり積もる
 こんな雪もあるものか
たれかれにも、あゝ
  辺鄙のカトレアすら
 かうして小さくなつている
頁をめくる日光に
 (伽藍いよいようるさく)
おれはぺこりやつて
 地蔵はすいからであると
たださう言うだけで
糊口をしのげるのに
 おれに刺さるひかりに
(堪忍しておくれや)
どうか容赦や砂糖などを
 そいつをはらつてやるから
これでもまだ足らないか
 電球の切れた月もおぼろで
こんな風にとんとんやつて
 雪走り、カアトンの空