離別

離別


このやうな膏のついた
  べたべたした日光やらを
 湯呑にすこし浮かべて
  床几に頬をついていると
 いつもさうおもうのです
   頭の中のきれかけの
  白熱灯のやうな具合に
或いは古いキネマのやうな
  あゝあゝ、ざらざらとする
白樺の梢にざら目の小雪
 かちこちでろくでもない
時計の針すら凍えている
  メヌエツトの落第者には
  孝行や孝悌すらもない
 シヤボンのやうな半生です
  日は立つて鳥は鳴き
川はしずしずと流れてゆく
  どうか透明なマスカラと
 油紙くらいはもつておゆき
それくらいは買えるから
 半月ほどがらがら働いて
きつと枕元に置いてやるから
 霙の石英ならフアンデになる
おまえはそのうちに
  おまえいつまでもきつと
西欧風のドウルのやうに
 まばたきひとつしなくなる
からんころんと影をおい
 又、このやうな妄言を綴る
どうか不出来なおれと
 薄情な信仰を赦してください