無題

無題


三本脚の洋琴も
屋根にぶらさがった
歯抜けの鍵盤は
きらきら星の変奏曲
鉄筋でこした珈琲を飲み
その硬いフィルタで
左にいったり右にゆく
ヘボンの音符眺めていた
偶にはタールもやった
ぴうぴうなる薬缶や
サイフォンのだいだい
亜鉛で拵えた部屋に居て
ギザギザの空を切手や
原稿のなかに収めた
すかすかと脚を踏んでは
またぷかぷかとやる