電力會社

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ひいらぎは指先で
風などは手書きでありました
ぽふぽふ揺れるステンドに
カラメル色のわたくしは
寡婦のやうな心持ちでした
あるいは落第した天使でせうか
ぴうぴう横切る横切る
マルメのバス停にぽつり居て
花瓶の香豌豆は硝子細工
チョークの春がやつてきたらば
おまえはこう思うのでせう
陰気だなんて理屈が通りませんと
オタマも譜面からつい
うつかり飛び出してしまう
そのやうな時節なのですから
日は陰つても鳥は鳴き
風は金色という具合なのでせう
わたくしは送電線の
連続した交流なのであります
どうしてこころの電燈は
点いたり止んだりするのでせうか