2017-02-24 早春狼狽 石 早春狼狽 ここらはもう 蚊帳のやうな月灯りで なにも憔悴せずとも まあるいやらなにやらで いつぱいではないか 俺は木製の林檎なので このやうな様なのだ たれか小火をおこしてくれ 月に口紅をぬるやうに 夜のカヌレのいつそう暗く だのにこころは透明で ぽんかん色の糸くずだらけ これも変わるのでせうか 朝摘みも変色は免れませんか 銀のスプウンに映りこむ おまえの活動写真は もうまあるいやらなにやらで 一つの恋の亜種なのでした そのやうに思えてなりません