俯瞰戀愛

俯瞰戀愛



こんな片田舎には
身を立てる術など大凡無く
めいめい日々辛酸を舐め
工場やらでがらがら働いては
一日の恥を安酒で流し
千鳥でゆらゆら午前の様
私のやうに血迷う暇も
ろくすぽ有りはしないもので
有体に云えばこうなのです
ダダの輩のろくでもない
春の跫音は天馬に乗り
梅の香油の揮発の速さで
これは急行の事案なのであります
どうして相対性理論などと
激論を交わす暇がありませう
人はきまつて蛋白石なのですから
急須のことことうるさい
熱病にかかる具合のほうが
よつぽどに自然な事と思われます