2017-08-02 ボイラーとリネン室 石 ボイラーとリネン室 八月は黒スーツ とっちらかった町を行く 送電線でぐるぐるで 月の消灯後の 療養所のリネン室は 洗い立てのカンバスで 朝の日光に油彩であるから おれも立ち去るほかない もよりの明かりは 屋上から望む藪ガラシで あとは黒い実のような そんなようなものが点々と ここはそれだけなので 黄道を行くあの変奏曲は 蜘蛛の腹のなかだらう あるいは分厚いアルタイル 小さなオルゴールも 夜風には流されて かつかつと階段を降りる そういう宗教もいいものだ