幻想水槽

幻想水槽



これもゴートと蝙蝠の
合皮ですかとチアノゼおこし
あれもそれも千丈の戯言で
俺にもよく麻酔をかけてくれ
さうすればまだ間に合うさ
恋慕時雨の冷たく濡れた手に
かすかに不時着する体温だけが
ボロの毛布もかけてくれ
コツトンのそろそろ降りて
痩せた八号をじつと見る
あらゆる発明やそれに類する
作法や勤めに降り積もる
たといばピアノの和音のやうに
故事に倣わば鯉魚ともいふ
くるりと鷺の行き交えば
俺なんぞは出刃で三枚にされ
外の烏瓜のイルミのやうだ
鬼灯だらばどんなによいだらう
窓の向こうに流し目やらば
この分厚い窓のうるさい水槽が
あまりに暗く重油なのです