俯瞰気狂

俯瞰気狂

 

冬空はテントのぴんと張り
まるきり二ツカや甲類で
窅然とした師走を走り
おもいおもいを転がしては
舌で幇間つつみを打つて
油性のオルガンをおれは弾く
この線はきつと膾のやうに
トレスできるものでせうかと
偽造された心持ちである為
そんな具合になりはしないのに
針葉樹に巻き付けられた
エルエイデのちかちか煩い
一つ灯の下に物食す某は
なんとも浅ましい精神グラス
手揉みはあはあ中山行かば
すこしも酔つてはいないのに
かじかんだ手はもう圓生
吹かば消え行く生なれば
どうせそのやうな生なれば
血糊で書いた詩画グラフアトで
あたり一面を雪でよごして
西洋風に云うならメイクをして
きれいさつぱり冬は旅人