2018-04-09 こころ装丁 石 こころ装丁 春の悪戯にちがいない 肘にふわりと手をやるのは 雑にまとめた髪を結い 或る女の日記抄を 俺もインクの薄れているから よくよく霊験あらたかで 窯でがらがら活字を洗つて 定規のように精緻でないから 未だに草色の装丁であれと そのやうに戸を叩く カルキカレハナキワカレ 雪洞レールの一列か まともな調律師のいない そんな抄のあつてたまるかと ひどく狼狽するばかり