心象ダカーポ

心象ダカーポ



おれは合皮のこれらを
石竹やルビーなどと言い張る
あまりにそれは透明なのだから
幾何級数的に膨れ上がり
たまにシヤボンのやうに弾ける
このやつかいな静止の海を
どうにか語るすべのないものか
なお天は高くごうごうと雨も降る
たといば冠毛のないおれに
そのやうな気まぐれな飛礫
あまりにも無体な仕打ちであるが
日照りのなかの水鳥の生活は
たまにはよいものであるなどと
ときおり黒子の星座を数えて
これはデネブであれはアルタイル
などと妄言を連ねるおれも
おまえも蝙蝠であるというのに