電線

電線










三味線ぽろん 
  くれよん空いろ
     しろいはたはらり






とほく叡山まで
  ケーブルくたびれて
     ひるさがりくらり






灰はいみなく
  ちりちりこげて
     空もこげはじめた






あたりいつたいに
  けだるい歌がひびき
     スケツチされてゆく





時計はいみなく
  ちくたくないて
     ゆうすずみふらり





とほく叡山まで
  空豆まいては
     じつとみつめる





わたしはいつたい
  どうしてたつていて
     三味線はゆれるのか





とほうにくれて
  また煙草をのんでは
     また日もくれる






三拍子の三に
  三味線の三
     これはワルツか





孔子の云うやうに
  三度省みてみる
     この三にいみはあるのか





ここらは三でいつぱいだ
  叡山も三でいつぱいだ
     こげた空から落下傘





はやくおりなければ
  地平からだつせんして
     とほくへいつてしまひたひ






在る日が在る日で
  わたしがわたしで
     あなたがあなたであるまで







  三味線ぽろん 三味線ほろん