渡月橋

渡月橋


劣情の額縁に
ドーラン塗られて
もはや味すらわからない
消印のない金平糖
日活の地下街に
 

  (揺れる、オルゴール)


 酒焼けした風景は
 おそろいの午後にたち
 まるで勘定のあわない空も
 とりどりに角度を変えて
 生き写しのキネマ


  (色眼鏡、スプーン)


固まった絵具たち
理科室のビーカーに運送された
ドクトリンを遵守する為
はられたみみず
たわことももういらない


  (コツリ、一杯やっても)



 まるで周波のあわない
 手垢まみれで
 渡る月すら遠ざかる
 タールのきついあべこべ
 もうやめてくれ


  (事変、ダム湖に浮かぶ)