俯瞰殺風

俯瞰殺風



なまりのなまりで
どうにもよくない晩冬だ
文鎮のくもの重さは
きつと此のてのひらにさえ
おれにはそう思えて
さりとて的外れでもあるまいし
心の比重はてんびんです
俯瞰のない行軍のやうでした
ゆきもちらちら焦げついて
ラフスケツチあさつゆに
濡れますひねもすなにがしです
ぼそぼそと正しい発音で
だれぞおれの名を云つてくれ
なんどもなんども云つてくれ
此の手に重さをくれませい