2014-01-01から1年間の記事一覧

門 我、問の門を今一度訪れ、門の閂を今一度抜き、 悶の門を再びくぐらんとす。

碁石

碁石 碁は暮れあきた かぞえのもく 矛でまぜた くものそこいど 墨の桃ぼたぼた 立ち木の仙人 あまみずぽたり 桶にひだまり 筆でかいた あまのすいぼく 盾でふせいだ こみのあまやど 天元にうち 鼓をうちならす ぽたりとしずく 灌木にささり ぽつりときずく …

中西整形外科

中西整形外科 野戦病院の額縁は あじさいのいろ 女医の沙汰をまつた びりびりのやつを 腰やら肩にはつけて じつとまつていた たむろう老いた人たちを この絵画はじつとみて ただたたずんでいたのか まずはれない器具たちに そつとあたためられては またびり…

コスモス

コスモス ビスでとめた恋は はがねのなつ 水筒のはね具合みて くずんだ和紙 はねとめうそつき ながいすに腰帯 かがみのかぜに とおざかつては 屏風いびき墨の宵 あざみにくくつた おたわむれ しけつたもくのくも 佩いては咳はき こふりとめがね 伊達かけたな…

七夕

七夕 すぎた陽射しは 拍子のこわいろ飲んで ころあいよんでは おぶかけた友禅です かけつけたまるやま 七夕のぬけがらは 賽銭箱のなかでした すとんとくだつて ひとつマツチを擦つた すとんとくだつて ふたつタバコを吸つた こうしのむこう 青い畳に目が咲い…

くすり指

くすり指 かざしものは 在るはれたまわり花 レンガの野原に いびつな隣人 かごめの森の しかばねだんだら 模様のアジトに こどくな実存 さがしものは 在るかれた旅支度 コホルタアルの かたくな乙女 ぶあつい風は かざくるまぶん廻し と在る少女 しろくろも…

キャバレーナイト

キャバレーナイト とてもヘイキじゃいられない オイラの煙草きれちった ほんとあんたバカよねって まちぼうけの街角で あんのじょうの一人ぼっちさ とてもシラフじゃいられない オイラの花束かれちった ほんとあんたズルよねって まちぼうけの信号で いつも…

マリリン

マリリン 君にHey Hey Hey!! 恋のダイヤル廻して 一緒に海岸線を走ろうよ 僕の赤いスポーツカーでさ 107番のモーテルで 白いYシャツ乾かした 僕の素敵なマリリン 一緒に朝の渚をみよう 僕の恋人と白い砂浜 セピア色の思い出さ 君とHey Hey Hey!! ブレー…

水晶浜

水晶浜 波止場に淑女があちら こちらとパラソル雪化粧 なみうちきわはいとやうじ 季節はずれはこのやうで おへそに群がる贋作の砂 あびたこほりをかぞえては いまかいまかと 琴きれた蜂の巣かかり はつたはつたのおおもうけ くらいあかるいおおもうけ はなた…

河童

河童 矢鱈と改行された砂子の泊り ほうしいつくつく毬栗頭 さげた盆のころあいには 頭巾のおくでわらつています お鏑なつてはお鐘もなり 駒のおんもぴたんとなつた くらかえした文月の馬は かけあしでかけはしです 女中にぼんをもたせては ことくるたびお茎…

途中峠

途中峠 くつひも結んだ雲ややこ 文つきては蜘蛛の糸 あらかたほどいた日和は まるでわかれた女房のやう ひきつた伝馬は水をのみ あいわかつたと走ります すだれの柳は暮れにゆれ なみだぽろんとこぼれます われがわれがと人の群れ ややこを抱いた女の暮れ あ…

御所

御所 なつの角すぎ 囲碁の檻 すきの間あんで 娼妓の膿 のみの坂すぎ 刺青の瀬 あいの手いきて 内裏の庭 ちいのおさいふ 掏児の懐 琵琶弦きれて 古都の舟

わつき

わつき わにつきみず みずにわつき 円かいたなつ たけひごあみ 丸竹にわつき なつ水かがみ うつせみかげ かげぬつた琴 けさきたなつ おしおいけ鉾 きものにつき うちわにつき おとうり大橋 わつきにはし たべうりさけ かえりにつき おれにはしは わたれぬのか

遊郭

遊郭 とおい舟人 わらじのあし 尼寺のいけ ずきりと縁切 株きつた人 たつきのなし 古池のいど ばさりと踏切 傘きた行灯 こうしの甲乙 天井のしみ たがえど是切 小判のお月 たずねのそら 廻りのすえ ばさりと首切

此んな一夜は

此んな一夜は 此んな一夜はぼろんちよ たたみをビスでとめはねて あけた瓶のうすかわよ ながれついた捨子のちよ ほとりのさめたころあひに とおい故郷をおもひだす 胡弓で踊るちくりんよ こがれないたかげの染み 其んな夜ながはぼろんちよ ゆめをビスでとめ…

瞽女

瞽女 くずのはわかれ でんでん太鼓 あいあいわかる 魚の詠 ぐず女のさじき あいのり三線 こいこいわかる 瞽女の詠 おはやしめんこ くずはの屋代 こがるるやなぎ 瀬田の詠

一夜

一夜 こんな夢を見た。 頑是無い子や、買ってきなさいな、と女将は太一郎に言った。油が切れていた為に、灯りが店になかった。太一郎は象の箱のマッチを擦りながら、町まで一人向かうことにした。一本、二本、三本、四本、と擦ると、たちまち灯りがぽうぽう…

鵬 月夜を横切る鵬の名を 天秤にのせてみるのだが いつこうにかたむかんぜ くろい羽をはばたかせ 南帝にのせてみるのだが いかんせんかぜふかんぜ (子、曰く) 天と千はつがいで ここらは白髪三千丈 点と線はちだまりで おいら宙に文字を書く (子、曰く) 貴妃…

団子

団子 おかみ串団子 蒲団 おぐし櫛団子 ビトン いじきた男子 ズドン かしまし女子 朱欒 ぼんたん団子 蒲団 濡れた向日葵 明鴉

冨美枝

冨美枝 おしもんどう ふみえの名を だきまくら駒 おしならべて おしなさだめ ゆめまくら香 甲冑着た胡麻 ふりかけては あぶらの小路 蝦蟇のお線香 かぎわけては にしきの小路 こてしらべて 胴ぬいたるは もののふ情事

どぶろく

どぶろく しやもじさみせん すみませんお京阪 さみせんしあしあ さみせんきんせん ふれませぬ猫の革 さみせんしあしあ びわほうしおたべ もうもくの宿の足 べべんとさあさあ きつねのさみせん とうだいずいいち 子守唄べべべんと あわれ女に恋せん どうだい…

拍子

拍子 せみ 黒いあぶく かぶく みせ みせ 黒いひとみ とじる みせ せみ 青いおあい こわい かげ みせ 白いふう鈴 せみ はつ せみなき 慕情 くれ こいなき 家具 せみの声 ほうし いけしあしあ みせの出囃子 こうし いけずあし りん はやし 轟轟 まひる おどる…

大和

大和 あげくのはてかるたさんざんでたちのまちなれのはてはがきまつやじろべえらくがきわれの狛をまえあいどんとのあいどんとのあいどんとのここはんのてまえあいつぱいじや

舟 たからぶね たきのあせ おいどくむ たからいけ かりのまい たちくらみ おたのしみ こいのたき ふられよい まいのうみ かたなとぎ きられぞん ひがしやま すとらいき わかれぞん さんびやう さんびやう さんさんと あついくも よあけの庭 こいすがる

水墨

水墨 等伯 水墨で日 暮六 すごろく 小六 六地蔵 角町 杖ついた 毬ついた 紅白 垂幕で偲 明六 火打石 おかみさん かんかん 頬ついた 袖ぬれた 円町

しゃもじ

しゃもじ へのへのもへじ だるまさん 亜鉛つめた文字 はくまいたいて あげまさん 番傘ぬれた和紙 へろへろこいじ やつこさん 鰻をやいた花街 かばやきいつつ やきまさん 万丈つめた格子 あるきやこいじ あねこうじ 刃びいた夢の乱 ずぶぬれやすじ 下ル あい…

舌 絶交の機や 西陣の 雲がくれ月 絶好の機や 西院の 霞がくれ陰 按摩の峰や 叡山の 鏡がくれ三 掛軸の宿や 無頼の 銭がくれ金 絶交の宵や 舶来の 傘がくれ粋 梅雨の債や 先斗の 酒がくれ泥

太宰府

太宰府 ひふみの嬉野 あじのない どれみの嬉野 ろじのない かれきの嬉野 紫陽のない おそその嬉野 さがのない いちごの嬉野 あかのない おちごの嬉野 せきこえて たび ついの太宰府 ながれつく たび あるたび ついの太宰府 こがれつく ひふみの嬉野 あじのな…

漁村

漁村 其れは漁村にありました まるで塩でできた角材のやうな ちいさな漁村でありました ここらは ぎょぎょ が通信簿です 剣舞は潮騒のやうに踊り ほつたて古屋に立ちおうじやう おそそがらくた波打ちきわ 砂の驢馬は古典のたづな引き あげくのはては目目目 …

ピストル

ピストル 南部十四年式で うった文字たちは (BANG!BANG!BANG!) 月に流れていきおる 大正刷るます 綺麗にするましたね あノ、夕暮れが片目に染みて まるでからまわりです きてれつはえれきてる 駅でまつていてください きつと 駅でまつていてくださいね 明治…